こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

ふと、明莉のスマホがバッグから覗いているのが見えた。

画面には、未読の通知がいくつも並んでいる。

《明莉ちゃん、大丈夫?》
《今日のこと、気にしないでね》
《また話そうね》

すべて——
 玲奈からだった。

胸の奥が冷たくなる。

(……あなたが、何をした)

楓はスマホに触れなかった。
 触れたら、何かが壊れてしまいそうだった。

明莉の寝顔を見つめながら、楓は静かに息を吸った。

(もう……見ているだけではいけない)

明莉は優しい。
 誰も疑わない。
 自分を責める。

だからこそ、楓が動かなければならない。

「明莉さん……あなたを守ると決めたんです」

その言葉は、病室の静けさに溶けていった。

そして楓は気づいていた。

この事件は“始まり”にすぎない。

真実は、まだ闇の中にある。
 その闇は、確実に明莉のすぐそばまで迫っている。

楓の胸の奥で、静かに、しかし鋭く、
 ひとつの決意が固まっていった。