こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

明莉からのメッセージが、いつもより短かった。

「今日は……ごめんなさい。少ししんどかったです」

その言葉が胸に刺さった。

明莉は弱音を吐かない。
 泣き言を言わない。
 どれだけ苦しくても「大丈夫」と笑う人だ。

その彼女が“しんどい”と言った。

(……限界が近い)

楓はスマホを握りしめた。
 胸の奥に、冷たいものがゆっくりと沈んでいく。

翌朝、リビングに出てきた明莉は、少し元気がなかった。

「ごめん……準備に時間かかっちゃって」

笑っている。
 けれど、その笑顔は薄い膜のように脆かった。

「大丈夫ですか」

「はい。大丈夫です」

その“だいじょうぶ”が、昨日よりもさらに嘘に聞こえた。

歩く足取りが少し重い。
 視線が落ちている。
 スマホを握る手が震えている。

(何が……彼女を追い詰めている)

問いは胸の奥で渦を巻き、
 答えのないまま、楓の不安だけが静かに膨らんでいった。