こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

帰り道、スマホを開くと、また知らないアカウントが呟いていた。

《佐伯明莉、今日も現場で泣いたらしい》
《白石玲奈に迷惑かけないで欲しい》
《白石玲奈がフォローしてるってことは本当なんだろうな》

(……フォロー?)

玲奈のアカウントを見ると、確かに“いいね”がついていた。

偶然かもしれない。
 深い意味はないのかもしれない。

でも——胸の奥が、すっと冷たくなった。

カフェ「灯」に寄ると、美咲が心配そうに眉を寄せた。

「明莉ちゃん……最近、ちょっと痩せた?」

「……そうですか?」

「無理してない? なんか……顔色、悪いよ」

その言葉に、明莉は思わず笑ってしまった。

「大丈夫です。ただ、ちょっと……疲れてるだけなんで」

美咲に心配かけたくなかった。
 弱いところを見せたくなかった。

美咲は何か言いたげに唇を開きかけたが、
 結局、それ以上は踏み込まなかった。

その優しさが、逆に胸に沁みた。

(……どうして、こんなに苦しいんだろう)

カフェの温かい空気の中でさえ、
 明莉の心はずっと冷たいままだった。