こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

「明莉ちゃん、大丈夫?」

振り返ると、玲奈が心配そうに立っていた。

「SNS、見ちゃったの? ああいうの、気にしないほうがいいよ」

優しい声。
 柔らかい笑顔。
 なのに、胸の奥がざわりと揺れた。

「……うん、大丈夫」

そう答えるしかなかった。

その日の撮影後、スタッフが明莉に声をかけてきた。

「佐伯さん、今日……体調悪かった?」

「え? いえ、特に……」

「白石さんが心配してたよ。
 “明莉ちゃん、最近すごく不安定だから”って」

心臓が跳ねた。

(……そんなこと、言ってない)

玲奈は優しい。
 友達だ。
 ずっと支えてくれた。

でも、どうしてそんなことを言うのだろう。

「……そうなんですね。ありがとうございます」

笑顔を作ったが、胸の奥が冷たくなっていく。

帰り際、玲奈が声をかけてきた。

「ねえ、明莉ちゃん。最近、ちょっと疲れてない?」

「そう見える?」

「うん。無理しないでね。
 私、明莉ちゃんの味方だから」

その言葉は優しい。
 けれど、どこか“監視されている”ような感覚がした。

(どうして……)

玲奈は友達だ。
 ずっと優しくしてくれた。

疑うなんて、そんなこと、したくない。

でも——
 胸の奥のざわつきは、どうしても消えなかった。