こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

顔合わせの日、明莉は少し痩せていた。
 けれど——その目の奥には、確かに光が戻っていた。

「明莉ちゃん、久しぶり」

笑顔で声をかけると、明莉は安心したように微笑んだ。
 その一瞬の緩みが、玲奈の胸をざわつかせる。

(どうして……そんな顔ができるの?
 佑輔を失ったのに……あんなふうに笑えるの?)

明莉の“再生”が、玲奈には裏切りに見えた。
 自分だけが取り残されているような、そんな痛みが胸の奥でじくじくと広がっていく。

そして——
 明莉のスマホに届いたメッセージを、偶然見てしまった。

「無理をしないでください。
 あなたが行くと決めたなら、僕は信じます」

重森楓。

あの人は、明莉を拾った男。
 倒れた明莉を支え、そばにいた男。

(……どうして。
 どうしてあの子には、いつも“誰か”がいるの)

佑輔の次は楓。
 明莉はまた“愛されている”。

その事実が、玲奈の心を静かに、確実に壊していく。

(私だって……ずっと、ずっと欲しかったのに)

胸の奥のひび割れは、もう隠せないほど大きくなっていた。