こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

「俺さ、俳優になりたいんだよね」

佑輔は笑いながら言った。
 その目は真っ直ぐで、迷いがなかった。

「向いてると思うよ」

楓がそう言うと、佑輔は嬉しそうに笑った。

「お前に言われると自信出るわ」

楓はその言葉が、密かに誇らしかった。

ある日、佑輔は照れくさそうに言った。

「好きな人ができた」

楓は驚いた。

「どんな人?」

「佐伯明莉。同じ事務所の後輩で……すっげぇ頑張り屋なんだ」

佑輔は、明莉のことを話すときだけ、少年みたいな顔になった。

「俺、あの子を幸せにしたいんだよ」

その言葉を聞いたとき、楓は胸の奥が少しだけ痛んだ。
 理由はわからなかった。

佑輔が倒れたと聞いたとき、楓はすぐに病院へ向かった。
 だが、間に合わなかった。

医師の言葉が遠くで響く。
 明莉の泣き声が、胸を裂いた。

楓はただ立ち尽くすことしかできなかった。

その夜、佑輔の遺品の中から、佑輔のスマホが見つかった。
 そこには、佑輔のビデオメッセージが残されていた。