家具店で選んだものたちが、まだ部屋に届く前なのに——
私たちの家は、もう少しだけ“家族の色”を帯び始めていた。
夕方の光がリビングに差し込み、
壁に淡い影を落としている。
その影が、どこか柔らかく見えた。
楓は買ってきた小さな紙袋をテーブルに置き、
ソファに腰を下ろした。
「明莉、ちょっと来て」
「なに?」
隣に座ると、楓は紙袋から
さっき選んだ木製のフォトフレームを取り出した。
「これ……今日、買ったやつ」
「うん。お父さんが好きそうって言ってたやつ」
楓はフレームを手のひらで撫でながら、
少し照れたように笑った。
「これ、俺たちの写真を入れたいんだ」
「……私たちの?」
「うん。結婚式の写真でもいいし……
今日の家具店での写真でもいい」
胸の奥がじんわりと熱くなる。
(……“家族の写真”を飾るんだ)
その当たり前の未来が、
こんなにも温かいなんて知らなかった。
「明莉。俺……こういうの、ずっと憧れてたんだ」
「こういうの?」
「うん。誰かと一緒に選んだものを家に置いて、
その人と暮らして、
思い出を増やしていくこと」
楓の声は静かで、
けれど胸の奥に深く響いた。
「仕事も家も……全部守りたいって言ったけど、
本当は……一番守りたいのは“明莉との生活”なんだ」
その言葉に、胸がきゅっと締めつけられる。
(……私も……同じ気持ちだよ)
言葉にしなくても、
楓は私の表情を見て気づいたのか、 そっと手を重ねてきた。
「明莉。これから、いろんなことがあると思う。
俺が重森を継ぐことも、
家族としての責任も、
きっと簡単じゃない」
「……うん」
「でも……全部、明莉と一緒にやりたい」
その言葉は、
誓いでも、義務でもなく、
“願い”として静かに胸に落ちた。
私は楓の手を握り返した。
「……私も。楓と一緒に……歩きたい」
楓はふっと笑い、
その笑顔は、今日見たどんな光よりも温かかった。
窓の外では、夕暮れの光がゆっくりと沈んでいく。
その光が、二人の影を柔らかく重ねていた。
(……この家は、これから私たちの色になっていく)
そう思うだけで、胸の奥が静かに満たされていった。
私たちの家は、もう少しだけ“家族の色”を帯び始めていた。
夕方の光がリビングに差し込み、
壁に淡い影を落としている。
その影が、どこか柔らかく見えた。
楓は買ってきた小さな紙袋をテーブルに置き、
ソファに腰を下ろした。
「明莉、ちょっと来て」
「なに?」
隣に座ると、楓は紙袋から
さっき選んだ木製のフォトフレームを取り出した。
「これ……今日、買ったやつ」
「うん。お父さんが好きそうって言ってたやつ」
楓はフレームを手のひらで撫でながら、
少し照れたように笑った。
「これ、俺たちの写真を入れたいんだ」
「……私たちの?」
「うん。結婚式の写真でもいいし……
今日の家具店での写真でもいい」
胸の奥がじんわりと熱くなる。
(……“家族の写真”を飾るんだ)
その当たり前の未来が、
こんなにも温かいなんて知らなかった。
「明莉。俺……こういうの、ずっと憧れてたんだ」
「こういうの?」
「うん。誰かと一緒に選んだものを家に置いて、
その人と暮らして、
思い出を増やしていくこと」
楓の声は静かで、
けれど胸の奥に深く響いた。
「仕事も家も……全部守りたいって言ったけど、
本当は……一番守りたいのは“明莉との生活”なんだ」
その言葉に、胸がきゅっと締めつけられる。
(……私も……同じ気持ちだよ)
言葉にしなくても、
楓は私の表情を見て気づいたのか、 そっと手を重ねてきた。
「明莉。これから、いろんなことがあると思う。
俺が重森を継ぐことも、
家族としての責任も、
きっと簡単じゃない」
「……うん」
「でも……全部、明莉と一緒にやりたい」
その言葉は、
誓いでも、義務でもなく、
“願い”として静かに胸に落ちた。
私は楓の手を握り返した。
「……私も。楓と一緒に……歩きたい」
楓はふっと笑い、
その笑顔は、今日見たどんな光よりも温かかった。
窓の外では、夕暮れの光がゆっくりと沈んでいく。
その光が、二人の影を柔らかく重ねていた。
(……この家は、これから私たちの色になっていく)
そう思うだけで、胸の奥が静かに満たされていった。
