こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

扉が開き、光が差し込む。

白い花々が並ぶバージンロード。
 静かな音楽。
 家族の視線。

私は一歩、踏み出した。

(……私は今、未来へ歩いている)

楓が隣で微笑む。

「明莉。これからも一緒に歩こう」

「……うん」

指輪を交換する瞬間、楓の手が少し震えていた。
 その震えが、嬉しさと緊張のすべてを物語っていた。

「明莉。俺は……あなたを守りたい。どんな未来でも、隣にいたい」

胸が熱くなる。

「私も……楓となら、未来が怖くない」

涙がこぼれそうになった。

式が終わり、控室に戻ると、楓がそっと私の手を握った。

「明莉。本当に……ありがとう」

「こちらこそ……」

楓は少し照れたように笑った。

「これから先、重森を継ぐことも、家族を守ることも、全部……明莉と一緒にやりたい」

その言葉に、胸がじんわりと温かくなる。
 心の奥の深い場所に、静かに灯りがともる。

私は窓の外の光を見つめた。

喪失から始まった私の物語は、
 楓に出会い、
 楓の家族に迎えられ、

そして今——
 新しい未来へ続いている。

(……私は、もう一人じゃない)

静かにそう思えた。

光の中で、未来がゆっくりと開いていく。

その光は、
 もう“過去を照らすため”ではなく——
 “これから歩く道を照らすため”に、
 確かにそこにあった。