こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

🎥 画面が光り、そこに映ったのは——

佑輔だった。

痩せていたけれど、
 優しい笑顔は変わらなかった。

明莉は息を呑んだ。
 胸の奥がきゅっと締めつけられる。

そして、佑輔の声が静かに流れ始めた。

『……明莉。これを見てるってことは、俺はもうそっちにはいないんだよな。

まず……ごめん。こんな形でしか話せなくて。でも、どうしても伝えたいことがある。

ちゃんと……言葉で残したかった。

明莉。俺は……お前のことが好きだった。ずっと前から。お前が笑うと嬉しくて、泣くと胸が痛くて、怒るとなんか安心して……

そんな自分がいた。でも、お前は優しいからさ。俺が弱っていくのを見て、きっと自分を責めるだろうと思った。

だから……お前には“幸せ”でいてほしい。俺がいなくなっても、前を向いてほしい。笑っていてほしい。誰かを好きになってほしい。

その“誰か”が誰かって?……言わなくてもわかるだろ。楓だよ。あいつは不器用だけど、本当に優しい。大事なものを絶対に手離さない男だ。

俺は……お前を幸せにできなかったけど、あいつならできる。

明莉。お前が誰かを好きになっても、俺は怒らない。悲しまない。むしろ……嬉しい。それが楓であればなお、嬉しい。

だって……お前が幸せなら、それでいいから。

最後にひとつだけ。俺のことを忘れなくていい。無理に前を向かなくていい。ゆっくりでいい。でも……いつか笑ってくれたら……

それだけで十分だ。

明莉。ありがとう。俺の人生にいてくれて、愛していた』

——ビデオは、静かに終わった。

画面が暗くなると同時に、
 病室の空気がゆっくりと震えた。

明莉の胸の奥で、ずっと凍りついていた何かが、
 静かに、静かに溶けていく。

涙が頬を伝い落ちた。

それは悲しみだけじゃない。
 喪失だけでもない。

——愛されていたという確かな温度。
 ——前へ進んでいいという許し。
——未来へ向かうための最後の言葉。

胸の奥に、
 佑輔の“願い”がそっと置かれたようだった。