こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

しばらく沈黙が続いたあと、
 楓は深く息を吸った。

「明莉さん……あなたに……話さなければならないことがあります」

その声は、どこか覚悟を決めたようだった。
 逃げずに向き合う人の声だった。

「佑輔から……あなた宛てのビデオメッセージを預かっています」

明莉はびっくりしたが、
 胸の奥がふっと温かくなり、小さく微笑んだ。

(……佑輔……?)

懐かしさと痛みが同時に胸に広がる。

「ずっと渡せなかった。あなたが傷ついていたから……
 タイミングを間違えれば、あなたをもっと苦しめると思って……」

楓は震える手でスマホを取り出した。
 その手の震えは、迷いではなく“優しさの重さ”だった。

「でも……今なら……あなたは受け止められると思う」

明莉はゆっくりとうなずいた。
 胸の奥で、何かが静かに整っていく。

「……聞かせて」

その言葉は、決意でもあり、祈りでもあった。

楓はスマホの画面をそっと明莉の前に差し出した。
 再生ボタンの上に、淡い光が落ちている。

——佑輔の声が、もうすぐ届く。

明莉の指先が、静かに震えた。