こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

画面が暗くなった瞬間、
 楓の視界が滲んだ。

(……佑輔……お前……)

胸の奥から、どうしようもない熱が込み上げてくる。
 堪えようとしても、堪えられなかった。

涙が落ちた。

初めて、楓は人前で泣いた。
 誰かの前で涙を見せるなんて、
 これまで一度もなかったのに。

(明莉さんを……絶対に守る)

胸の奥で、強い決意が生まれた。
 祈りではなく、誓いだった。

「重森さん」

医師が出てきた。

楓は息を呑む。
 心臓が一瞬止まったように感じた。

「命に別状はありません。
 傷は深いですが、処置は成功しました」

その瞬間、膝から力が抜けた。

(……よかった……)

世界が戻ってきた。
 音も、光も、呼吸も。

ベッドの上で眠る明莉は、
 静かに呼吸していた。

その胸が上下するのを見た瞬間、
 楓の胸の奥が熱くなる。

生きている。
 ここにいる。
 それだけで、世界が救われたようだった。

楓はそっと彼女の手を握った。

「……ありがとう。
 俺を……守ってくれて」

声が震えた。
 涙がまた滲んだ。

「もう二度と……お前を傷つけさせない」

それは、誰に向けた言葉でもない。
 自分自身への誓いだった。

明莉の手は、
 弱々しいけれど確かに温かかった。

その温度が、
 楓の胸の奥に深く刻まれた。