「ん? それなら、もう今してるけど?」
えっ? 今してる?
意味が分からず、私は首を傾ける。
「みんなが外で暑い中、体育祭を頑張っているのに。こうして保健室で、男女がふたりでイチャイチャしてる。これって、悪いことでしょ?」
耳に吹きかけられた息がくすぐったくて、ぴくりと肩が揺れる。
「確かに。言われてみれば、そうかもしれないですね」
私は、クスクスと笑う。
「俺としては、誰にも邪魔されずに咲奈を独り占めできて。こんなに嬉しいことはないけどね」
海里先輩が、心からの笑顔を見せてくれる。
「もちろん、今日だけじゃ全然愛し足りないから。これから、覚悟しててよね?」
「はいっ!」
「あと、今ここでいちゃついてることは、俺たちふたりだけの秘密だから」
そう言って海里先輩は、私の頬にキスをした。
END.



