悪いこと、って……?
「1回立ってくれる?」
先輩に言われるがままに、私はベッドから立ち上がる。
「俺、咲奈ちゃんとくっつきたいんだけど。いーい?」
「は、い」
同じく立ち上がっていた先輩は、再度ベッドの縁に腰掛けると、私を自分の膝の上へと乗せた。
え、え!?
そうして先輩は、後ろから私を抱きしめる。
「ぎゅーっ」
私の肩には先輩の顎がのせられ、腰には先輩の長い手がまわされている。
先輩の体温を、背中越しに感じる。
すごい密着で、心臓のバクバクがおさまりそうにない。
「んー。咲奈ちゃんの髪、いい匂い……」
先輩が私の髪に頭をうずめて、すんすんとさせる。
う。くすぐったいし、なんだか恥ずかしい。



