「ああ、リンは俺が家で飼ってる犬だよ」
いっ、犬!?
えぇっ、まさかのワンコなの?!
こんなことって……。
私は、開いた口が塞がらない。
「咲奈ちゃんに言おうとしたけど、聞いてもらえなかったからさ。ほら、見てよ。これが、我が家のリンちゃん」
先輩が私に見せてくれたスマホの画面には、愛くるしい白のポメラニアンが映っていた。
「かっ、可愛い……!」
「だろ? こいつ、いつも朝になると俺のことを起こしに来てくれてさ。とにかく可愛いんだよ」
先輩の目尻が下がる。
ペットを愛おしいと思う気持ちは、私も家でチワワを飼っているから分かる。それなのに、私は……。
「ごっ、ごめんなさい。まさかリンちゃんが、ワンちゃんだとは思わなくて」
私は、先輩に深々と頭を下げる。
「いやいや、俺も悪いからさ。だけど、咲奈ちゃんと離れてたおかげで俺、自分の気持ちに気づけたんだ。
こんなこと言っても、信じてもらえないかもしれないけど。俺……咲奈ちゃんのことが好きだ」



