大事な……話?
先輩のいつになく真剣な表情に、思わず胸がドキリとする。
「しっ、失礼します」
私は先輩の隣に、人が1人座れるスペースをあけて腰をおろした。
さすがに今の先輩は、以前のようにふたりの間の距離を詰めてくるつもりはないらしい。
「こうやって咲奈ちゃんと並んで座るのは、すごく久しぶりだね」
先輩が、ゆっくりと話し始めた。
「俺、前に咲奈ちゃんに『もう私に構わないで下さい』って言われたとき、すごくショックだったんだ」
あのときの苦しい感情が、再び自分の中によみがえる。
「俺、なんでこんなにもショックなのか、すぐには分からなかった。
今までいろんな女の子と遊んだりしてきたけど、その子との関係が終わっても悲しいとか嫌だとか、そんなことは一度もなかったから。それなのに……」
先輩が、視線を私へと向ける。



