驚いて見つめてしまった私を前に、騎士団長様は、明らかに苦笑している。
 そこでようやく、私は話の意図に気がついた。

 ……そうよね。先ほどの話から考えて、一人暮らしのアパートに帰るのは、たしかに危険だわ。

 レトリック男爵領で産出される魔鉱石。
 市場で足りないという話は、耳にしていないけれど……。
 きっと、三年前のできごとは、魔鉱石に関連する、そんな気がしている。

 レトリック男爵領の魔鉱石を手に入れるには、どうしても私が必要になるのだ。

「一人でいるのは、危険だから、ですね」
「そうだな。……それもある」