【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?


「ふむ。自分より恥ずかしがっている人が目の前にいると、存外冷静になれるものだな」

 口の中だけでつぶやかれた言葉は、私には聞こえず、独り言かな? と軽く首をかしげて見上げる。

 本当に、黒い騎士服がよく似合う。

 一部の上位騎士だけが着用を許される正装の白い騎士服も、騎士団長様のために誂えられたのかと錯覚するほど似合うけれど、逞しくて長身の騎士団長様には、黒の騎士服が本当にお似合いだ。

「さあ、こちらへ。リティリア嬢」

 声をかけられて、騎士団長様を見つめすぎていたことにようやく気がつく。
 そして、周りを見渡す。