【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?



「きっと、何をされたって、騎士団長様のこと、嫌いには、なりませんよ?」
「…………っ」

 それは私の素直な気持ちだった。
 でも、もしかしたら、何か間違えたのかもしれない。
 ギシリ、と音がしたのかと思った。騎士団長様が、その動きを完全に止める。

「そ、そうか……」

 いつも低くて、耳に響く声が、今はなぜかかすれている。

 そして、はじめに耳元が赤くなり、そのあと騎士団長様の顔は赤くなった。
 その顔を隠そうとしたのか、口元に添えられた大きな手。でも、まったく隠せていないことに、気がついているのだろうか。

 私は、その変化を、見てはいけないものを見てしまったような気持ちで、呆然と見つめた。