そのまま、抱きしめられた。
 騎士団長様からは、いつでも穏やかなハーブみたいな香りがする。
 それは、優しくて頼りになる、大人の男性の香りだ。

「良い香り……」
「……リティリアこそ、甘いお菓子のような良い香りがするが」

 そのまま、私のフワフワした淡い茶色の毛先をつまみ、唇の先にあてて上目遣いにこちらを見つめて、幸せそうに笑った騎士団長様。

「うん、思った通り甘いな?」
「ひえぇ……」

 クルクルと指先に私の毛先を巻き付けて弄びながら、それを見つめるまつげの長さと、格好良さと、なにかに興味を示してしまった子どもっぽい可愛らしさ、すべてが私の心臓を撃ち抜いてしまう。