「ああ、明日の晩はヴィランドも誘うか」
「……明日も来る気ですか?」
「朝来てダメというなら、夜に来るしかなかろう?」

 もちろん、筆頭魔術師が店の外に出られないという事態のためにこの場所を訪れていることは理解しているつもりだ。
 だが、陛下はすっかり、この店が気に入ってしまったのも事実だろう。

「――さて、本題だが」

 陛下が表情を改めた。
 ここから先の会話は、王国のトップシークレットに違いない。

 明日も店に出るのは、昼過ぎになりそうだ。

 月明かりと、追加でオーダーされたカクテルと、魔力を灯した金色の光が、静かに店内を照らし出していた。