「やはり…………か?」
「アーサー様?」
「もっとよく見せてくれないか」
「えっ、あの!?」
その低い声は、掠れていて聞こえづらい。
あまりにまっすぐ見つめられているせいで、どんどん頬が熱くなってしまう。
スルリと頬が撫でられると、そのくすぐったさと恥ずかしさで、思わずギュッと目を閉じてしまった。
なぜか、目を閉じたとたんに騎士団長様がピタリと指先の動きを止める。
「そうだな、見間違えるはずなんてないのに」
「あの、どういうことですか?」
「……リティリア、とりあえず食事にしようか」
「……はい」
その日の夕食も、もちろん絶品だった。
あいかわらず料理長は、画家にだってなれたのではないかというくらい色彩のセンスが良い。


