【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?


「わあ……。夕焼け空みたい」
「ふむ。では、本日のテーマは夜空と夕焼けにしましょうか」
「素敵です!」

 魔法みたいに作り上げられたのは、夜になる手前、ひととき美しく輝いた空だ。

「仕上げにこちらを」
「わあ!!」

 星屑の欠片が混ぜ込まれれば、星が輝きはじめた空がグラスの中に現れた。

「さあ、夕食の後にデザートとしてお出ししましょう」
「楽しみです!」

 料理長の作る食事は絶品だ。
 今から楽しみでしかたがない。
 けれど、やっぱり騎士団長様の元気がなくて心配になってしまう。

「……アーサー様」
「……」

 騎士団長様が、長いまつげに彩られた淡いグリーンの瞳をまっすぐこちらに向けた。
 そっと前髪が長い指先で寄せられて、その瞳が至近距離まで迫ってくる。