「他の客が来たようだ。私のことは気にせずに、接客するように」 「っ、それは、その」 もちろん、どのお客様だって大切におもてなししたいけれど、目の前のお方より優先するべき人なんて、この王国に存在するだろうか。 「頭を上げなさい」 「かしこまりました」 その言葉を受けて、ユルユルと頭を上げる。 可愛らしく膨らんだドレスの裾がフワリと揺れた。