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 結局、在庫が再び無くなってしまっていたこともあり、結局最後までカフェ・フローラに残ってしまった。
 二階にある居住スペースへオーナーは消えてしまったので、私も帰ることにする。

 バックヤードには、二つの扉。
 古びた木でできた扉は、魔女様の家に繋がったままなのだろうか。

 元のぬいぐるみに戻ってしまったクマを抱えて扉を開ける。

「リティリア、良かった。間に合った!」

 そこには、走ってきたのだろうか。
 息を切らせた騎士団長様がいた。
 騎士団長様は、しばらく私を見つめていたけれど、何を思ったのかフワリと私をクマのぬいぐるみごと抱き上げた。

「アーサー様!?」
「迎えに来た」

 抱きしめられれば、落ち着く香りに、すでに家に帰ってきたような安心感を覚える。