たくさんのクマたちは、それぞれがおしゃれに飾り付けられて、それ自体がカフェフローラの装飾品のようだ。
フワフワ飛んできた黄色い蝶々。それを追いかけて縦横無尽にクマたちが走り回る光景は、まさに不思議でいっぱいのカフェフローラだ。
そのあまりの可愛らしさと騒々しさに呆然としていると、もう一度手が強く引かれた。
「あっ、待って!?」
水色のワンピースの裾がいつの間にかフリルとリボンでいっぱいの裾が広がったデザインに変わる。
まるで魔法のように。
「ううん、魔法だよね」
オーナーは、ほとんどの力を失ったと言っていたのに、と首をかしげながら前を見た私の心臓がドキリと音を立てる。
お店の目立たない席に座る男性の黒い騎士服は、可愛らしいこの店の中ではやっぱり少し違和感がある。
「でも、クマたちに一番人気」
頭の上にまでクマが乗っているお客様は、見渡してみても彼一人しかいない。


