「……案内してくれるの?」
モフモフの短い手が差し伸べられる。
しゃがんだ私が、そっとその手に触れるとクマのぬいぐるみは走り出した。
「じゃ、またあとでね?」
扉をくぐった先は、カフェフローラのバックヤードだった。
不安定な体勢のまま、背の低いクマのぬいぐるみに着いていく。
そこは、茶色の来出てきたテーブルが並ぶオシャレな喫茶店だった。
フリルいっぱいの店内は、とても可愛らしいけれど、ごく普通のカフェと言えなくもない。
「やっぱり、オーナーの魔法がなくなってしまったから」
私がそう呟くと、クマのぬいぐるみがぶんぶんと首を振った。
「え……?」
わらわらと私の足下に集まってきたのは、森のクマさんシリーズのクマたちだ。
私が騎士団長様に貰ったのは、クマさんたちの中で一番人気だけれど、そのほかにもたくさんのクマがいるのだ。
「わ、わわ!!」


