妖精たちは、よく懐いた小鳥のようにエルディスの肩にとまったり、周りを掠めて飛び回ったり賑やかだ。
 そして、私に視線を向けると、一匹、二匹とヒラヒラこちらへと飛んでくる。
 それはいつしか、光り輝く大きな波のように集まって、私の元へ押し寄せてきた。

「お願い……」

 こんなにたくさんの妖精に願ったなら、それほど多くない私の魔力なんてきっと空になってしまうだろう。
 それでも、この状況を変えられるのは、この方法しかない。

「姉さん! 無茶しないでよ!?」

 エルディスの声が、慌てたように高くなる。
 それでも、今できることをしない選択肢なんてない。

「お願い!! 助けて!!」

 妖精たちは、次々と私に寄り添っては、魔力を奪っていく。淡い紫色の光があたりを満たしていく。
 それほど多くはない私の魔力。それが根こそぎ奪われてしまって、ひどく酩酊したような感覚に襲われる。

 それでも、まっすぐに視線を向けた先には、大切な人たちがいる。