少し離れたところでは、エルディスが妖精に話しかけている。
 反対側の手をポケットに入れれば、冷たいけれどどこか温かい魔力を内包した宝石が触れる。
 ふと、ポケットに視線を向ければ、淡い緑色と星々のきらめきのように瞬いている。

「……あれ?」

 不思議に思って取り出した片割れの宝石は、やっぱりアーサー様の瞳と同じ色をしている。
 けれどその中には、いつの間に閉じ込められてしまったのか、星の光がインクルージョンのようにきらきらと内包していた。

「星の光が、宝石の中に入ってしまった!?」
「魔女殿にいただいたこの宝石は、魔鉱石の中でも抜群に純度が高い。星のかけらを手にしたときに紛れた俺の魔力に反応して、吸い込んだのかもしれないな」
「きれいです……」

 夜空にかざした宝石は、暗い中でよく見れば、淡く銀色に輝き、その中に揺らめくオーロラに星の光が瞬いているみたいで、あまりにも幻想的だ。
 思わず、時間が経つのを忘れそうになった私はあいかわらずのんきだと思う。