「ここに置いていく方が危険だな……。一緒に行くとしよう」
「あの、エルディスと一緒に来たはずで……。気がついたらひとりになっていたんです」
「そうか。弟君は、君と同じで妖精に愛されている。妖精の導きを受ければ、問題ないだろう」
「そう、でしょうか……」

 一匹の妖精が、私たちを先導するように飛び始める。
 チラリと騎士団長様が、妖精に視線を向けた気配を感じる。
 私をなぜか降ろしてくれないまま、歩き始めた騎士団長様。
 
「あの、歩けますよ?」
「この方が、間違いなく速い」

 風を切って歩く騎士団長様は、本当に足が速い。
 人をひとり抱えているなんて思えないスピードに、私は結局それが一番速いのだと納得せざるを得ず、その首に腕を絡めてしがみついたのだった。