「オーナー! 大丈夫ですか?」 「もちろん、問題ない」 質問を間違えたのだろう。 オーナーが、私を前にダメだと言うはずない。 その証拠に、オーナーは青ざめた顔色のまま、それを隠すように微笑んだ。 「……あの、私」 「リティリアには、もっと自分を大切にしてほしい」 ポンポンッとのせられた手は、大きくて、この手がとても頼りになることを私は知っている。 「……それから、ヴィランド卿にも」 バサリ、と音がして、顔を上げる。 すでに、魔術師団の制服を着たオーナーは、私に背を向けていた