「よく来たわね?」
「……魔女様、お久しぶりです」
「願いを叶えてあげるわ」
「……それは」

 クルリと私に背中を向けてしまった魔女様。
 魔女との取引には、必ずそれ相応の対価が必要だ。
 けれど、必ずその願いは叶う。どんな結末を迎えるとしても。

 私は慌てて魔女様を追いかけた。
 魔女様が提案するなら、そのとき必ず選ばなくてはならない。
 そのとき人は、もう戻ることが出来ない運命の分かれ道にいるのだから。

「お願いします!」
「……まだ、取引内容を提示していないわ」
「でも、恩を返さなくては、私は……」

 そう、きっと私が今この場にいるのは、返しきれない恩を返すためだ。