慣れなくては……。
気合いを入れて見つめていたら、ふっと小さな吐息とともに、騎士団長様の顔が近づいてきて、頬に口づけされる。
「……いきなり」
「リティリアが可愛いのがいけない」
「えぇ」
「ところで、妖精がついてきてしまったようだな」
「……そうですね」
少しだけ、嫌な予感がする。
妖精が離れてくれないときは、大抵なにか私の周りで事件が起こる。
「……そんな顔をしないでくれないか」
「すみません」
「何があろうと、守るから」
「……無茶しないでくださいね」
「ああ」
約束しかねる、という音が重なって聞こえてきたのは、きっと気のせいだと思いたい。


