「…………」
一度扉を閉めてみる。
騎士団長様のお屋敷は、とても部屋数が多いから、間違った部屋に入ってしまったのだろうと、廊下の左右を確認する。
けれど、部屋を間違えてしまったわけではないようだ。
それでは、見間違いだったのではないかと、期待を込めてそろそろと扉を開けてみる。
「…………」
部屋をのぞき込まなくても、扉を完全に開けることが出来ない。
ああ、つまり完全に見間違いなどではなかったのね……。
そんなことを思いながら、私は改めて部屋の中に入る。
「ひぇ……」
やはり、扉が開かないほどたくさん積み上げられた贈り物の山がそこにはあった。
たぶん贈り物なのだろう。でも、ここまでたくさんなんて、いったい誰が予想できただろう。
「騎士団長様が帰ってくるのを待とう……」
ベッドの上には、今日も森のクマさんぬいぐるみが置かれている。
騎士団長様が、私にくれた初めての贈り物だ。
あの時には、ほんの少しのクッキー、そのお礼にこんなに大きなぬいぐるみを貰うなんて貰いすぎだと思ったけれど……。
「クマのぬいぐるみなんて、子どもへのお土産みたいな感覚だったに違いないわ……」
私は、そっとクマのぬいぐるみを抱きしめて、ベッドにお行儀悪く倒れ込んだ。
そのまま、フワフワと極上の肌触りのクマのぬいぐるみに誘われるように、つい夕方近くまでお昼寝をしてしまったのだった。


