「そうですね。きっと、大人になってしまったのですね」
私ばかりが、大人になりきれずに取り残されている気がした。
三人に助けられるばかりの私に、出来ることはあるのだろうか。
「リティリア」
「アーサー様」
「少なくとも、俺はリティリアに助けられている」
見上げると、今日も少しだけ眉を寄せた騎士団長様が、不器用に微笑んでいる。
おもわず私は背伸びをして、そっと眉間のしわに触れる。
今度こそ騎士団長様は、淡いグリーンの瞳で弧を描いて笑う。
心臓がドクンッとして、苦しくなるほどその笑顔が好きだ。
「俺を暗闇からすくい上げてくれる人は、君だけだから」
もともと、小動物みたいにまん丸な私の瞳は、きっといつも以上に丸くなっているに違いない。
だって、私の知っている騎士団長様は、いつも光り輝く場所に立っている。


