「君の弟、エルディスだ」
「エルディスが? えっ、危険なことをしたのでは……?」
「はは、義弟を危険な目になどあわせるはずないだろう。護衛をつけた」
「義弟……」

 そんな言葉の端はしに、頬を赤らめてしまっている自覚がある私は、たぶんどうかしてしまったのだろう。
 
「それに、彼を傷つけられる人間は、この王国でもそれほどいない」
「エルディスをですか?」

 私が知っているのは、私のあとを泣きながらついてくる、幼いままの弟だけだ。
 確かに、魔力は強いし、妖精たちとも意思疎通が取れる弟は、普通に考えてとても強いのかもしれない。

 いつの間にか、私のことを見下ろすようになった背丈も。