【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?


 しかもいつも下ろしている髪を少し上げて、やはり白い魔術師の正装に身を包んでいるものだから、輝きに目が潰れそうだ。

「だが、おそらくヴィランド卿が、陛下に呼び出されたときが、危険だから」
「……よろしくお願いします」
「任せておいて」

 二人の会話に、少し浮かれていたことを反省する。
 なにかに巻き込まれてしまったら、確実に騎士団長様に迷惑をお掛けする。

「でも……」

 魔力が不安定な状態のオーナーにも、迷惑を掛けたくない。だから、できる限り自衛しなければ。
 決意をして握りこぶしを作った私の手が、不意に掴まれる。

「そんな仕草ひとつにも、酷く不安になるのは、俺が心配性過ぎるせいか?」
「へ?」
「いや、その不安は正しい。誰かが巻き込まれでもしたら、確実に無茶をするだろう」
「だろうな……。それに、この美しい瞳についても既に噂が広まってしまったようだ」