「おいしいです」
「そうか、料理長に伝えておこう」

 その後も私は、次から次へと食べ進み、結局デザートまで完食してしまった。
 小さくて、少しずつ出てくるから、つい食べ過ぎてしまう。
 ちなみにデザートは、パフェだった。
 ピンク色のチョコレートで蓋をされたパフェ。開けると、ムースで出来たウサギとハート型の苺が並んでいた。

 料理長さんは、見た目は強面。
 可愛らしいパフェを作っている姿を想像すると、少し微笑ましい。

「――――さ、行こうか」
「は、はい」
「何をそんなに緊張して……。ああ、すまない。先ほどの失言か」

 口元に指先を当てた騎士団長様が、フワリと微笑む。
 南洋の海みたいな淡いグリーンの瞳が、優しく細められるのは、いつだって心臓に悪い。
 きっと、騎士団長様は無自覚だ。

 私の少し前を歩いていた騎士団長様の腕に、そっと腕を絡める。
 いつの間にか、窓の外は真っ暗になっていて、どこか空恐ろしい。
 ふと浮かんだのは、魔女様が逆さまにして見せた恋人のカードだ。

「……何を怯えている?」

 その言葉にドキリとして顔を上げる。