その言葉に、マグマみたいな飲み物が入ったカップを手に取る。

「あら、潔いわね」

 ここまで黙っていた騎士団長様が、その飲み物を一息にあおった

 熱くないのだろうか……。

 猫舌の私は、フウフウしながら口をつける。
 確かに味わって飲んではいけない類いの代物だ。
 けれど、せっかく用意していただいたので、頑張って全て飲む。

「発言をお許し願えますか?」
「……礼儀正しいのね。そういうのは、嫌いじゃないわ」
「ありがとうございます。……リティリアを呼び寄せたわけを教えていただけますか?」

 魔女様は、棚の中から取り出したカードを持ってくると、私たちの前に座った。

「そうね」

 差し出された一枚のカード。
 そこにはやはり、恋人が描かれている。

「リティリアは、これからも選ばなくてはいけないわ」
「え?」
「でも、あなたの直感は間違いないわ」

 カードがクルリと上下逆さまにされる。

「大切なものを間違えないようにね?」

 それだけいうと、魔女様は棚からたくさんの七色のサクランボを取り出して私に差し出した。

「あの店のテーマ、実は毎日楽しみにしているの。でも、リティリアがいないと今ひとつ楽しくないわ」

 気がつけば私たちは、淡いピンクのレンガが目印のお店の前にいた。