騎士団長様の背中に隠されて、魔女様の声しか聞こえない。
「……元気では、なかったです」
「そうでしょうね」
魔女様の足音が遠ざかっていく。
「来なさい」
少しきしんだ扉の音。
赤い屋根の小さな家に、私たちは今日も招かれる。
「それにしても、思った通り、あなたたちはそういう関係になったのね。ずいぶん子どもっぽくて、初々しくて、可愛らしいにしても」
テーブルの前に置かれた小さな木の椅子を勧められて、二人で隣り合って座る。
「今日は、リティリアもちゃんと飲みなさいね? 魔力が底をつきかけているわ。まあ、私も一緒に入り込んだのが、一番の原因でしょうから」
今日出されたのは、まっ赤でドロドロして湯気を立てる怪しい飲み物だ。
それにしても、予想よりも魔力が多く抜き取られたと思ったら、魔女様がついてきていたせいだなんて……。
「飲めないものは入っていないわ。味は保証しないけど。温かいうちに飲むと魔力が回復するわ」


