【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?


 騎士団長様の背中に隠されて、魔女様の声しか聞こえない。

「……元気では、なかったです」
「そうでしょうね」

 魔女様の足音が遠ざかっていく。

「来なさい」

 少しきしんだ扉の音。
 赤い屋根の小さな家に、私たちは今日も招かれる。

「それにしても、思った通り、あなたたちはそういう関係になったのね。ずいぶん子どもっぽくて、初々しくて、可愛らしいにしても」

 テーブルの前に置かれた小さな木の椅子を勧められて、二人で隣り合って座る。

「今日は、リティリアもちゃんと飲みなさいね? 魔力が底をつきかけているわ。まあ、私も一緒に入り込んだのが、一番の原因でしょうから」

 今日出されたのは、まっ赤でドロドロして湯気を立てる怪しい飲み物だ。
 それにしても、予想よりも魔力が多く抜き取られたと思ったら、魔女様がついてきていたせいだなんて……。

「飲めないものは入っていないわ。味は保証しないけど。温かいうちに飲むと魔力が回復するわ」