「くっ!?」
「リティリア?」

 少し人数が多かったのかもしれない。
 妖精たちが私の連れてきた人たちを通してくれるのは、対価を払うからだ。
 前回は、騎士団長様お一人だったから何でもなかったけれど、今回は数十人一緒だ。

 魔力が、淡い紫色の瞳から勢いよく抜き取られていくのが、きっと騎士団長様には見えているに違いない。
 それでも、どうしてもしなくてはいけないことだと理解してくれているのだろう。
 騎士団長様は、やめるようには言わなかった。

「……ひゃ!?」

 私の思いを尊重してくれることに感謝した瞬間、足が地面から浮いた。
 魔力はあいかわらず、瞳から抜き取られている。
 周囲を飛び回る妖精たちは、少々興奮しているようだ。

「あの、騎士団長様。恥ずかしいと……」
「リティリア。帰ろうと言わなかった俺を褒めてくれ」
「え……。あの」
「褒美に抱き上げるくらい、許してくれてもいいだろう?」
「え?」

 周囲を見回せば、生ぬるい視線が集中している。
 でも、誰も何も言わない。恥ずかしすぎる。