【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?


「とりあえず、着替えも必要だし、王宮魔術師殿も連れ帰る必要がありそうだな」

 元の姿に戻った騎士団長様は、あいかわらずカッコいい。
 けれど、ほんの少しだけ、愛らしくて柔らかかった手が、惜しくもある。

「騎士団長様……」
「戻ろうか」

 それだけ言うと、騎士団長様は、軽々とオーナーを肩に担ぎ上げた。
 長身のオーナーだが、たくましい騎士団長様であれば、担ぎ上げたまま山道を歩くのも、容易なようだ。

「すごいです」
「……負傷した仲間は、なんとしても連れ帰りたいからな」
「……そう、ですか」

 戦場でも、騎士団長様はきっと、仲間を助けるために最後まで足掻くのだろうな。
 そんな予感に、胸がぎゅうっと締め付けられる。
 私は、少しうつむいて歩く。

「あ…………」

 何の変哲もない白い石ころ。
 けれど、見る人が見れば、その価値がわかる、ゴツゴツした石を拾い上げていく。