「お願い。少し力を貸して?」
手を差し伸べれば、少しだけ迷うようにクルクルと飛んだあと、妖精たちは私の手のひらの上に集まった。
あまり多くはない魔力が、吸い取られる感触と、吹き始めた甘い香りがする風。
「リティリア嬢」
どこか呆然とした、騎士団長様の声がした。
その声は、確かに騎士団長様に違いないけれど、いつもの低くて心地よい声ではなくて、高くて澄んでいて、どこか可愛らしい。
「お願いっ!」
妖精たちが、オーナーの体からあふれ出した魔力を吸い取っていく。
花の蜜が好な妖精たち。
でも、その主食は魔力だから。
ほんの一瞬の間。
どこか暗く、ザワザワしていた木々はおだやかに静まりかえり、どこかに消えてしまった鳥たちが高らかに鳴く。
「……オーナー、大丈夫ですか?」
「……ああ、だが」
大人に戻ったオーナーの青白い頬に、少し赤みが差している。


