【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?


「お願い。少し力を貸して?」

 手を差し伸べれば、少しだけ迷うようにクルクルと飛んだあと、妖精たちは私の手のひらの上に集まった。

 あまり多くはない魔力が、吸い取られる感触と、吹き始めた甘い香りがする風。

「リティリア嬢」

 どこか呆然とした、騎士団長様の声がした。
 その声は、確かに騎士団長様に違いないけれど、いつもの低くて心地よい声ではなくて、高くて澄んでいて、どこか可愛らしい。

「お願いっ!」

 妖精たちが、オーナーの体からあふれ出した魔力を吸い取っていく。
 花の蜜が好な妖精たち。
 でも、その主食は魔力だから。

 ほんの一瞬の間。
 どこか暗く、ザワザワしていた木々はおだやかに静まりかえり、どこかに消えてしまった鳥たちが高らかに鳴く。

「……オーナー、大丈夫ですか?」
「……ああ、だが」

 大人に戻ったオーナーの青白い頬に、少し赤みが差している。