【書籍化・コミカライズ】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?



 …………あれ? なんだかもめている?

 しばらくの間、騎士団長様は受付のスタッフと何か真剣に話をしているみたいだった。
 そのあと、前髪をぐしゃりとかき分けて、困ったような顔をして戻ってくる。

「あの……。何か問題でもありましたか?」
「…………」

 騎士団長様は、困った顔のままだ。

「実は……。手違いがあって、部屋が一つしか取れていないらしい」
「え、ええ!?」

 もちろん、馬車で寝泊まりするときには、一緒に眠っていたけれど、騎士団長様は気を遣って斜め向かいに座っていた。
 宿泊は、もちろん相部屋ではなく、違う部屋をとっていてくれたのに……。

 私たちのことを、婚約者か夫婦だと勘違いした宿の手違いで、一つしか部屋が取れなかったらしいのだ。
 さらに、明日から、この地方では大きなお祭りがあり、部屋が埋まってしまっているという。