「あっ。りあたん、ほのちゃんがいる!やっほ~!!ほのちゃん!」
まだその呼び方とは思うけど。呼び方にかわいいとかあるのだろうか。松岡さんが来てから、そんなこと言えるわけがない。だって私は、松岡さんが、苦手だ。というか、嫌い。話に入りたくないから、そっと後ろに下がる。この前までは、えりかちゃんは、後ろに下がる私に
「どうしてうしろにさがるの?えりかの気のせいというものかな~。」
とばかり聞かれてきたけど、最近はない。えりかちゃんがそういうと、松岡さんは、
「別によくない?えりか。二人で仲良く話せるほうがいいと思うし。」
と言っていた。このことを、毎朝、聞かなくてよくなったからうれしい。毎日うんざりしていたし、初めのほうは少し傷ついていた。こんなことをいう、松岡さんだから嫌いということもあるけど、それではない。松岡さんは学年で、一番恐れられているグループに入っている。その名はBLACK。名前からしても嫌な感じしかしない。実は、そのなかのトップにいる。私は、リーダー系女子というものが嫌い。今まではそんなこと思ってもいなかったけど、松岡さんのことで思うようになった。私にしてみたら、とても怖いからね。しかも、嫌なことに、クラスが同じ。私が朝、最悪だと思う理由の、一つでもある。毎日おびえているし。ほかの子も、怖い。と思う子はいる。えりかちゃんは、そんなこと一緒にいることができるからすごい。いやではないのだろうか。だけど、松岡さんは、一年生のときも同じクラスだった。でも、その時は、とても静かで、暗い子だった。友達もいなさそうで。そんな子がこうなってしまうなんて、思っていなかった。一年生の頃は、キャンプの班がたまたま同じになったから、少しずつ、話すようになってきたのだ。意外に、松岡さんの話は面白かったのに…。友達になれそうだなんて思っていた自分がばかみたい。ほのかちゃんだなんて、なんでそんな風に呼んでいたのだろうか。今は、絶対に仲良くだなんて二度となれるわけがない。いつ、こんな風になったのだろうか。多分、中学二年生くらいかもしれない。その時に、BLACKができたから。松岡さんは、グループを作ってみたのにもかかわらず、友達があまりいなかった。だから、クラスが違う私のところにも誘いに来てくれたのだ。しかし、私は、断った。その当時は、グループに入っておくべきだったかも…。とばかり思っていた。松岡さんは、友達がとても多くなっていたから。今は、入らなくて、とてもよかったと思う。あんな風にはなりたくない。
「ほのちゃん、りあたん、やっと学校に着いたよ!!つかれた。だけど、イケメン、とても楽しみ!!」
「えりか、まだなれていないの?でも、イケメン、チョー楽しみ♪」
私って、さっきまで、何考えていたのだろう。もう忘れてしまったけど、松岡さんも、えりかちゃんと同じで、イケメンが楽しみだということに驚きだ。そんなにイケメンっていいの?