久しぶりにこの町に来た。何年ぶりなんだろう。昔と同じ、マンションに部屋。たまたま、あいていたかららしい。僕は、桐谷優里。十四歳。隣に住んでいるのは、堀田璃亜の家族らしい。挨拶に行ったときは、母は、とても喜んでいたが、璃亜はいなかったらしい。だから、秘密にしてもらっているから、璃亜は知らない。知っていたら、怖いくらい。僕が引っ越した時、とても泣いていたような気がするけど、正確に言えば、覚えていない。だけど、ふたつに結んでいて、よく遊んでいた子だ。新しい学校は、春山中学校。たしか、三年五組。璃亜と同じクラス。夢みたいにうれしいけど、緊張もしている。
「おにいちゃん。お母さんが呼んでいるよ。はやく車にきてだって。ゆきは、準備できたから、先に車にいるね。」
「優里、はやくしなさいよ。」
「分かった。」
今、僕を呼んできた二人は、小二の妹の優希と、高二の姉の優葉だ。呼ばれたから、そろそろ車に行くか。そう思いながら、部屋を出た。