今日もなた平凡な一日が始まることを考えると、ベッドにずっといたくなる。今日、小テストもあったような…。そんなことを考えているのは、今年、中学三年生になった、堀田璃亜、十四歳。ずっと幼いころから仲が良かった優里と離れて、ちょうど十年がたった。優里といたころは、毎日が楽しくて、かけがえのない毎日だったと思う。そんな優里と離れたのは、年中の夏。四歳のころだ。そのころのことはあまり覚えていない。けど、優里のことはずっと覚えている。お別れのとき、今までで一番泣いたから。そのとき、優里は、たしか
「いつかまたあおうね。またかえってくるから。りあちゃん、なかないでよ…。」
なんて言っていたものの、帰ってはこなかった。

「璃亜!もう六時三十分よ!ご飯を食べないと、遅刻するわよ!!はやくしなさいっ!」
お母さんの声だ。あぁ、うるさい。いつもこれですぐに目覚める。最悪すぎる目覚めだ。私は、もっとしあわせな…
「璃亜!はやくしなさい!もう言いませんからね!!」
毎日これ。ドアをわざわざ開けにくる。ノックをして。何回言ったと思っているのだろう。
「返事は。」
「はい。わかったから。今行くから。」
返事をしなければ、お母さんはすぐにこわくなる。