別に嬉しくない。
帰りたい。
早く出してほしい。
「暗号ってー? その紙はなに?」
と、どこからか声が飛ぶ。
ぼくは二度とやりたくないと思いながら説明する。
「この経路通りに進むと、フェイクに惑わされず、暗号文を、割り出すことが出来るんです。縦とか、横とか」
「どこから進めばいいかの目印だね。これを知っている人が、暗号を解くことが出来るわけだ」
台詞をとられた。
この暗号の欠点は、鍵が拾われたらまるわかりなこと、解きなれていれば、別に並び替えなくても勘で解けてしまったりすることだけど、一見、船という形にあわせて立体になっていることで、少しわかりづらくなっている。
「なるほど」
ステージを降りた古里さんが近づいてきて、頷く。
「で、つまり、何、これ」
「これは、一種の転置暗号だった、ってことです」
ぼくは言う。
「天地?」
「転置です」
ややこしいよね。
「この船を道順に見立てた暗号」
「なるほど」
ユキが頷く。
どこかから、パッチワークのワンピースの彼女と、秋沙さんが、二人組みを連れてきた。
ふと、納得する。ユキが、あの母さんに協力して、盗聴器をぼくに仕掛けさせたな……
まさか、そんなほいほいそういうのを持ってきてるやつじゃないとは思っていたけど。
黒いワイシャツの女の人と、女性より背の高い白いワイシャツの男の二人組だ。



