断片集


しかし記号を『鍵』に当てはめるとして、でも、どうやってその記号を使っているんだろう。フェイクがどれで、どれが必要なものだろう。
そういえば、せっかく盗聴していたのに、それらしい音は何も聞こえてこなかった、と思い出す。ただ、階段を上り下りする音が聞こえたくらいだった。
「もしかすると、何かの目印を見て、動いてるのかもしれない」
例えば、絵、ピクトグラム……
「そうだな、そういうものであれば、言葉は関係ない」
「暗号……」
四角の中に矢印の描かれた紙を見せる。
「実は、廊下でこれを拾っている」
ナツは言った。
「なんだそれ」
ぼくは、何も答えず、船内図を眺める。
そういえば1、2、3、4、って、地下のタンク、ボイラー室を入れたら、ここの階の数と同じだ。
矢印を見ながら、船内図に照らし合わせると部屋の辿り方がわかる。
「まずは、4階だ」
矢印が下、右、上、右、上、下、下、となっている順に沿って、ぼくたちは下を目指そうとした。そのとき、ユキが言う。
「でも、その辿り方じゃと、もう、下、つまり1階に居た方が結果的に先回りになるのではないか?」
それもそうか。全部を解く必要も無い。
1階に来たら、捕まえることもできるんだ。
「でも」
ナツが言う。
「道順はわかっても、結局どの部屋かなんて、どうやって見分けるんだよ」
それは…………
うーん。
「いいんだよ、勘で」
「よくないだろ」
「そうだけどね」