「熱でもあるのか」
ぼくは首を横に振る。でも少しからだがだるい。
「真が、熱があるみたい」
お見舞いに行かなきゃな。
何を、持っていったら、喜んでくれるのだったっけ……なんだか頭が痛い。
いっそ早いこと、どこかに。
「おい、何持っているんだよ!」
そいつは急に怒ったので、声が耳に響く。ぐわんぐわんしている。
「………何?」
「それは、どこで手に入れた?」
「え?」
手に持っていたのは、ユキがさっき拾ったラムネだけど。
駄菓子みたいにパッケージがあって、中にラムネが二つ。
「落ちていたんだ」
そう言うと、そいつは、驚いたように口を開けた。
「それは、俺たちが持っていてはいけないものだ」
「なんで? ラムネだよ」
「違う。これは薬だ。使用が禁止されている、危ないやつ」
「え――」
ぼくは、呆然とする。禁止されている薬だって?
「なんで知っているんだよ」
聞くと、そいつは、遠い目をして言う。
「なんとなく」
「使ったことが?」
「ないない。ただ、俺の痛み止めにも、そういう効果があったりする場合があるから、そういうの、調べてしまう」
そういえば、こいつはたまに、事件や事故が起きそうな場所で、身体が痛くなるんだったか。でも、今はそうでもないから違うと思っていたが。
もしやそれは、殺人事件じゃないからだったのか。
「こういう風にして、運んでいるのかもしれない。この船に隠してあるそれを集めて、外に運ぶ気だ」
別の仕事の二人、か。古里さんがそんなことを言っていたな。
仕事って、もしかして『これ』なのだろうか。
「だとすれば、犯罪、じゃな」
しばらく黙っていたユキが言う。
でも、どうやって、それのありかを探しているのだろう。
こんなに部屋が沢山――――
「全部を見る必要はない」
いつだったか、そんな言葉を秋沙さんから聞いた気がする。
一部分。フェイク。
そうだ、そうかもしれない。
これは暗号なんだ。
廊下の壁に貼ってある、緊急避難経路の書かれた船内図を見る。



