はなしているうちに、鬱々としてきた気分が少しだけ晴れていく。 しかし、そのときだった。 「――ハヤト」 通りの少し先から聞き覚えのある女性の声。 この声……。 そちらに首を動かすと、 「すまない。会議が押して遅れた、待ったよね?」 路肩の黒塗りの車から降りたのは隼人さんだ。 ここ見えるのはスーツの背中だけど間違いない。